2022/09/16 18:00
毎回、SOLD OUT連続のSYU HANDMADE EFFECTOR、やはりアーティスト本人が製作するエフェクターってなかなかないですよね。1970年代後半にデビューしたアメリカのバンドで ”BOSTON" というバンドがいまして、このバンドの創設者であるトム・シュルツという人物がいます。私は何故かこのトム・シュルツとSYUさんが重なるのです。その理由としてギタリストでもあるトム・シュルツは自身のバンド、BOSTONのサウンドの母体となるギターサウンド(エフェクト)を全て自ら開発し、創り上げ、その音ですべてのレコーディングを行ったからです。そのエフェクトは後に「ROCK MAN」というエフェクトブランドになり、多くのアーティストに使われることになります。このことからギタリストにとってエフェクトは “重要な鍵” になるのだと実感しております。そんなことを頭に入れつつ、マニアックな後編のインタビューをお楽しみください。
Q⑤:このハンドメイド・エフェクターは自身のシグネチャーモデル、「Veloctiy Effects Pedal × SYU / SYU-B1」の開発に影響していますか?
SYU(S):これはね~とてもイイ影響でしたね。試作機をまず自分で作成しVelocityに持って行ったところ、回路の後にバッファーを付けた方が良いのではと言う意見をもらい、納得したうえで製品化になったわけです。シグネチャーモデルは普通ならばメーカー側が作り、それをアーティストが使い、”こうして欲しい” などと要望を出して制作していきますよね。その工程すべてを自分でやりました!(笑)
また、すべて自分でやっているので終わりが無いのも実に困ったものでした(苦笑)。それでも最終的に納得いくものが完成して、実際に世に出すことが出来たときはホントに嬉しかったですね~。
それと実はここではじめてお話しするのですが、ROCK ECHOESさんで販売しているHANDMADE EFFECTORとは別に、自分のプライベートブランドのエフェクターを発売するプロジェクトが進んでいるんです!今のところ、オーバードライヴが2種類の発売が決まっていて、後発でブースターとディストーションをリリースしようと思っているんです。そのうちのオーバードライヴ 1種はようやく完成形になりました。
このプロジェクトはもう2年越しくらいで進んでいまして、ブランド名も決まりつつありますので、乞うご期待です!!まぁミュージシャンでありながら、エンジニアとしても世に出られることは嬉しい限りです。
Q⑥:先日、某雑誌の取材で配線材のことを特集していましたが、そんなに変わるんですか?
S:これがネ~、メッチャ変わるんですよ!!しかも物凄くです(笑)配線材を変えただけでエフェクターを1台加えた若しくはバッファーを加えたくらい音に変化が出ます。全ての配線材を変えるのではなく、一か所だけ配線材を変えただけで、このギターにはコレの方が合うと言う現象が多々ありましたね。取材後にオヤイデ製の配線材を入手し、自分のエフェクターの配線を変えたりしてみました。
余談ですが線材だけでなく、線材を覆っている被膜でも音が変わることが分かったんです!これは衝撃でした。マジかっていう感じでした(爆笑)。また線材も、撚り線と単線とでは音が違うんです。撚り線は細い何本もの線材を束ねているもので、単線は1本の線材のことです。
通常、市販のエフェクターはほぼ撚り線が使われているのですが、僕のハンドメイドエフェクターは、ほぼ単線で仕上げています。理由としては音色が自分好みというのが基本ですが、線材そのものが形状を記憶したうえで、ハンダ付けが非常に楽なことですね。
また、感覚ですが撚り線より単線の方が音が ”ツルん” としている感じを受けたんです。この感覚が自分に合っていたということもありますね。それと製作する上で「エフェクター内の音作り」をどの単線を使い、どのケースを使用し、どのスイッチを使うかの全てを計算したうえで製作してるんですヮ!でも重要なのは配線材とケースの大きさですかね。これはエフェクターの内部を美しく見せる意味でもあるんです。ACアダプター駆動にしているのもそれです!安定した電源供給をできるのも一つの要因ですが、バッテリーを置く空間がエフェクターの中にあるのが、自分としては美しくないかと・・・。やりすぎですかね~(笑)
Q⑦:今回、納品いただいたエフェクターの中に少し変わったものがありますが、これはどのようなものですか?
S:実は今までのエフェクターは全て元となるエフェクターの基盤をほぼ似せて、多少パーツの種類を変えたりして形にしていましたが、今回のなかに基本となるエフェクターに僕が完全に改造(モディファイ / MOD)を加えたエフェクターが幾つかあります。これは新たなプライベートブランドの基本形となるエフェクターの試作機といっても過言ではありません。もしかしたらそのまま製品化なんて言うこともあるかと思いますね(笑)
余談ですが以前はカートレースの世界にどっぷりと浸かっていたんですが、いつの日かエフェクター製作が趣味になり、今ではサウンドメイキングに大きく影響し、それがバンドのサウンドにもつながって行くので、これは一石二鳥だと思ってます(笑)
【後記】
今回インタビューさせていただいて、ここまでギターサウンドを自身で考えて作り上げているアーティストの方をあまり見たことがありません。自分のサウンドチームを作り、アーティストの意見をクルーが吸い上げて制作していくのは良くある事ですが、線材やエフェクターの中の見た目(配置)まで自分で考えて制作しているのは本当に驚きでした。今後は新たに自身のブランドを立ち上げ、エフェクターを世に出していく日も近く、エンジニア・SYUのデビューも近いのではないでしょうか。
また、インタビューのなかでSYUさんが言っていた完全に改造(モディファイ / MOD)を加えたエフェクターですが、9月末から10月頭にかけてROCK ECHOESにて販売予定です。こちらはまた追ってご報告させていただきますね。
最後に一つ自慢を(笑)下記の写真はSYUさんが昨年、私のバンド・ライブのために作ってくれたエフェクターです。BOSS BD-2を基本にSYUさんがモデファイしてくれたありがたいエフェクターです。金色がメイン機で、銀色がサブ機になります。良いでしょ~!!(爆)