2022/10/13 19:46


不定期ではありますがオーナーが過去行ったコンサートの思い出を、「ライヴ回想記」として ”BLOG” で語っていきたいと思います。70年代中期から80年代終わり辺りまでは、月に数本ライヴに足を運んでおりましたので、そこそこの思い出は語れると思います。よろしくお願いします!

プログレッシヴ・ロックを聞かない人にとっては「U.K.」って何?って感じですよね。ざっと説明します!1976年にユーライヤ・ヒープを脱退したジョン・ウェットン(ベース)はプログレ・スーパー・バンドを作ろうと画策していました。当時、初期セッションに加わったのはイエスを脱退したリック・ウェイクマン(キーボード)、イエスやジェネシス等でドラムを叩いていたビル・ブラッフォードの3人で、実現すれば正にスーパーバンドと言えるグループになっていたと思います。しかし実現はせず、フランク・ザッパでキーボードを弾いていたエディ・ジョブソンとゴング等でギターを弾いていたアラン・ホールズワースを入れ、ようやく第1期U.K.が出来上がったのです。

1978年にアルバム「憂国の四士」でデビュー。もちろんプログレ色たっぷりで素晴らしい仕上がりの名盤です。がしかし、アッという間にバンドからギターのアラン・ホールズワースとビル・ブラッフォードが脱退。即、ドラマーにフランク・ザッパで活動していたテリー・ボジオを加入させ、トリオでバンドを再スタートさせます。翌79年にこのメンバーで超名盤「デンジャー・マネー」をリリースします。これは名盤中の名盤ですので是非聞いてください!

そして遂に1979年6月にこのメンバーで日本にやって来ることになりました!ツアーは東京3公演、名古屋と大阪を1公演ずつの計6公演でした。当時、私は都下の福生に住んでおりまして、地元の友人数人で東京最終公演の日本青年館に足を運びます!ライブに行った地元の友人とは前年にジェネシス初来日公演、79年初頭にキャメル初来日公演を一緒に観に行き、まさにプログレ三昧だったところにこのU.K.公演でとても盛り上がっておりました。

会場の日本青年館に入るとこの公演がライブ盤収録することを知らされます。テンションMAXで会場入り口に進もうすると私は凍りつきます(笑)。目の前に大ファンであるカルメンマキさんがいるではありませんか!!! 美しい顔立ちとそのオーラに圧倒されながらもサインが欲しくて、何か書いてもらうものを探しますが見当たりません。そこで今考えると大変失礼なんですが、購入したUKのコンサートパンフレットにサインをもらうのです。しかも、エディ・ジョブソンの欄に!!(苦笑)本当によくここにサインしてくれたと今も思います。余談ですがこのパンフレットには珍しくメンバーからのコメントが別紙で添えられているほど丁寧な作りなのです。当然ですが今も我が家の家宝になっています。


開演前に興奮MAXでいよいよ会場内に入りました。しばらくするとレコード会社の人のような方がステージ上に現れます。本日ライブ収録をすることを告げられると同時に「ここで皆様とリハーサルをいたします!」とアナウンスが。「UK!UK!UK!UK!」言葉を何度も繰り返し発声し、「そのあとに録音しますのでOKが出るまでUK!UK!UK!UK!と言ってください」という前代見物の光景が繰り広げられました(笑)。

当然ですがこの音声はライブ盤「ナイト・アフター・ナイト」のオープニングとエンディングに収録されています。今風に言うと完全にヤラセです(笑)そしてこのライブ盤に収められているオープニング曲 ”NIGHT AFTER NIGHT” は日本公演のために作られたことを後で知ることになります。実際のライブはセカンドアルバム「デンジャー・マネー」の1曲目 ”DANGER MONEY"がオープニング曲でした。ジョンの足元にセッティングされたmoog・タウラス(★)の超重低音が会場に響き渡ったのを今でもしっかりと覚えております。もう完全に『プログレの良いトコ取り』のような完成されたライブでしたね。

なによりドラムのテリー・ボジオの存在が圧巻でした。海外での活躍は素晴らしいものでしたが、この時ほとんど日本では知名度のないドラマーでありました。しかしそのテクニックとドラムセットの凄さは明らかに日本のプログレ・ファンの度肝を抜いたことは間違いないと思います。しかも歌まで歌えてナイス・ルックスでしたからね(笑)。

また、この公演でジョン・ウェットンはしきりに日本語を使うのですが、その発音はお世辞にも良いとは言えず、”君たち最高だよ!”と言いたいのに、いつ聞いても”キミタチサイコダヨ”に聞こえます。一文字足りないだけで違う意味になりますので、これも当時から話題になりました(笑)それとライブ収録すると分かっていましたので、地元の友人と話し合い、レコードに収録されるような言葉がないか考えました。会場の皆はジョン・ウェットンに声援を送る際、誰もが「ジョン!」と言っていましたので、我々は「ウェットン!」と叫ぶと決めておりました。すると微かにですが4曲目の ”AS LONG AS YOU WANT ME HERE" の冒頭にウェットン!という叫びが聞こえます。これは明らかに私たちの誰かが叫んだ声なのです。なかなか迷惑な話です(爆)。

このライブ盤「ナイト・アフター・ナイト」を発売時に聞いた時、 ”DANGER MONEY"がオープニング曲でないのが唯一の不満点でした。あの曲で始まるライヴこそが、正にプログレの典型的なオープニングと感じていたからです。2018年になりエディ・ジョブソンがリミックスを手掛け、完全版「ナイト・アフター・ナイト」が発売されましたが、こちらでもオープニングが ”DANGER MONEY"でないのが実に悲しいのは私だけですかね(苦笑)。しかし、大変素晴らしいライブアルバムですので是非皆さんも聞いてみてください!

★moog・タウラス・・・moog社から発売されていたペダル鍵盤・シンセサイザー。重低音が魅力で多くのプログレッシブ・プレイヤーが使用。


U.K. JAPAN TOUR 1979  

5月29日(火)東京・中野サンプラザ
5月30日(水)東京・中野サンプラザ
5月31日(木)大阪・大阪厚生年金会館
6月1日(金)名古屋・名古屋勤労会館
6月4日(月)東京・日本青年館

入場料:S席 / ¥3.000